― 12月・海 ―[土曜日の午後。>>132バスから降りた時には、自転車の傍らに海藤が立っていた。一角に自転車を停めて、海まで一緒に歩いた。潮風が心地よい、と言えればよかったのが、冷たい風が衣服越し、容赦なくなぶっていく。] さ、む。コウ、これ。[カイロを投げた。防寒はしていたようだが、取れる暖は多いほうがいいだろう。ケンはニットキャップにウインドブレーカーという格好で、動くたびにカシャついた音が鳴った。]