[ふと、眺めていた窓枠に飛び込んでくるものがあった。
バスケットボール>>120だった。
懐かしい色と形に結月は思わずといった様子で微笑む。
結月は昔から運動が好きだ。
最初にハマったのはバスケだった。
ドリブルで相手を抜くのが得意で、パスは苦手だった。
ボールを独占していたかった訳じゃない。
昔から人より一回り小柄な体格では、
パスをするのも受け取るのも難しかったからだ。
遊びなら良かった。
相手の隙をつけばパスができないことはなかったし、
もし失敗したとしてもみんな悔しがるだけで済んだ。
でも本気になればなる程、結月の体格は短所になった。
結局、中学へ入学すると同時にバスケはやめてしまった。
嫌いになった訳じゃない。限界を知っただけだ。
結月はそう思っているし、今も興味を引かれ窓に近寄る。]