[死神の足音を予期せずにいられないようなどこか親近感を覚えさせられる寝室の中と俯いた少女、その光景が種に水を与えたように頁を捲るほどに変化していく。
そして食い入るように黙していつしか過剰すぎる破損への恐れも忘れ頁を進め続けると、最後の一枚に辿り着き彼は感嘆の深い息を吐き出した。
沢山の子供、仕事に準ずる大人、意識せずにはいられない寝台──重ねられる部分は多くあるのに、少年が同一視したのは最初の一枚だけだった。
……そう、そんな不躾な真似が出来る訳が無い。
まさしく、共に正門を潜ったばかりの頃に写真家が少年に語った話を思い起こさせるには充分であった。
収められているのは全て写真、例え同日の撮影があったとして映像のように流れる連続性は無く一つ一つが作品として孤立完成しているべきはずのもの。
しかし始まりから終わりまで揃うことで一個体の作品となり──一人の少女という存在の全てを伝えているかのようだ。
生きるとは何か、強く鮮明に見せつけられた気がした。]