[原作を読んでいない者からすれば、
ただ興味を引かれたように見えたかもしれない。
落下防止の銀色のバーに寄りかかりながら見下ろすと、
件のボールが花壇の上に乗っているのを目撃してしまう。]
え……?
[ぎょっと見開いた目の先には
ボールを手に悠然と去る男子生徒>>122の姿がある。
多分に漏れず誤解した結月であったが、
だからといって怒鳴り込むような度胸もなければ、
階下に降りて花壇を整える殊勝さもない。]
……。
[ただ、見なかったことにする気にもなれなかった。
今日の担当時間が終わるまで、
少女はいつもと違った様子で窓の外を眺めることとなる。]