[謝らなければ。そう思うのに言葉がうまく出てこない。想えばこの十年間で私はこんなに動揺した事があっただろうか?いや、ない。青ざめた顔で彼女を見つめ、それから空っぽになった腕を見下ろした。そうだ、妻が亡くなった時から私にはもう。抱き締める者なんていない。ドロシーは私の胸の中には生きているが、この腕の中にはもういないのを何故…忘れていたんだろう。]