待って、オレも何か返す。[笑顔で送り出そうとしてくれる海藤に、少し慌てた様子になって(慌てているつもりだが、あまり変化はない。あるいは、これまでの付き合いの中で気付けるようになっているかもしれない)。貰いっぱなしでは居心地が悪い。とはいえ、贈り物に相応しいものなど持ち合わせていなかったし、近くに適当な店もなさそうだった。ポケットに当たる革の感触、少し逡巡して取り出す。]