― 夕暮れ ―
[長い影が二人分。>>138
ようやっと追い求めていた相手の隣に居るというのに、俺の手には銃の一丁すらない。
呼ばれた名は自分の通り名で、自分の存在がきちんと相手に認知されていた事に微かな心地よさを覚えた。
俺の片思いで無くて安心したよ、夕日のお前。
何処か無機質さを覚える相手を前に、笑って感想を待っていた。
けれど帰ってきた言葉は透明な物で――……。>>139>>140>>141]
『何もない……、そうか、ふふ…、
そう来たか』
[何もないだと?この俺を、一度でも殺したのに。
喉の傷を強く引っ掻く。
深い意味が無くとも、返された言葉に頭がカッとなった。
お前を殺せなかった感想なんて、そんなの一つに決まってる。>>142]
『――笑えた、よ』
[悔しさも、憎らしさも、お前への執着の始まりも、ありとあらゆる全ての事が。]