[幸阪結月は松本から見てどのように映っていたか。
原作小説にはこう描写されている。『近付けば離れ、距離を保とうとする彼女を松本はもどかしく感じていた。
自由を重んじる松本が強く結月にアプローチをすることはなかったが、それでも決して目を離すことはなかった。
ただ静かに、葛藤し苦悩する小さな躯を見つめていた』
『この時までは』
行平はのらくらした松本を演じる為、いつも間延びしたように話していた。
が、この場面では一変する。
熱血刑事のような張りのある声は出さない。静かな情熱を称えた、中心の蒼白い焔のような落ち着いた低い響きを醸し出す]
みんなを避けたみたいに逃げるのか。ーー俺からも、絵からも。