[赤い顔と、口から出した言葉を誤魔化すように、手を顔の前でひらひらと振った。冗談めかせば、少しはマシかと考えたのだ。
それから、一呼吸置いて、ついでのように言葉を足した。]
ここの花壇さ。
もう、見頃も終わるんだ。じきに全部が少しずつ枯れていく。
そうなる前に各教室に配るから、よかったら覚えといてよ。
花瓶見て、綺麗だなって思ってくれたら、花も生きた甲斐があるでしょ?
[その言葉に、彼女は何を感じたのか。花の死を悼んでくれた少女には、些か残酷なお願いだったかもしれない。
花の気持ちを代弁するなと言われたら、その通りだと思うしかないが。
飯島は、相手の顔を見た。今は茶化す気にはならなかった。
相変わらず、口から紡がれる全ての言葉はどこか遠くて、他人事のように思いながら。きっと、彼女の言葉を聞いた。]**