ありがとう。[頭を撫でられるなんで、祖母がいなくなって以来だった。生身でない手の感触が、すこしむず痒い。]またね、おじさま。[裏通りを歩いていく。いつもより少し、軽やかに。カラコロ、カラコロ、口の中に甘酸っぱい優しさが広がる。「入れ替えたら」彼はそう言っていたけれど、入れ替えてなかったら来てはいけないとは言われなかった。]