……もう少しだけ皆と話があるんです
あの、聞き間違えでなければマストさんは
正門で人に会わないといけないんですよね?
僕はもう、大丈夫ですから先に行っててください
[あとどこまで時間があるのか、マウスのような常連ではない少年には知れぬこと。
仲間達がどうやらこのやさしげな大人に興味津々に見えても、縛れないのだ。
手を離し、一歩下がった。その後ろに子供達が並ぶ。]
ここまで連れてきてくれて本当にありがとう
マストさんが宝物と一緒に幸せになれますように
[改めてお礼を言うと、祈りを捧げるように手を組んで少年はそう告げた。
その宝物を得ることでどのように写真家の心が埋まるのか、どんな穴が空いていたのかを知らないなりに、何度も手を引いてくれた大人が今度は自分の幸せを掴みますようにと。*]