現在:瓦礫の街で
[オクリビがある区画に踏み込んだ時、散乱する瓦礫のひとつから微かに物音が響いた――気がした。
潜伏できる隙間が幾らでもある瓦礫の街に入ったことで、聴覚機器が過敏に働いた結果の誤検知だったのかもしれない。
まず肩の上の「鳥」に周辺の警戒監視を指示し、中空に自動飛行で旋回させておく。
それから、腰に佩いたカタナに両手を添えた構えのまま、その隙間を覗き込むと――
>>139]
貴方、
[確かに潜伏者はいた、が。
まさかそれがあの「血の太陽」の首領であり、しかも尋常でなく損傷した状態
>>138だったとは、流石に予測しておらず、無機質な声で反射的に呼びかけを発していた。
葬儀場で相対した時の「可憐で不憫な少年のドール」どころでない、そのままにすればスクラップ場に放り込まれかねない有様だ、と思考する。
……それでも女は、警戒を解かず]