[手渡した冊子を慎重に捲っていくイノリくん。>>147
大切なものと言いながら渡してしまったせいでそうさせたのかと思えば、ちょっと申し訳ない気持ちになったり。
真剣な様子で内容に目を通し、深い息を漏らすのを見ていれば、どこか居た堪れなくなって頬を掻く。>>148
あまり僕は自分の作品の評価を聞いたり見る事に慣れてない。
自分自身の表現や拘りが形となっただけでも有難い故に、一種の自己満足の様な側面もあったから。
かくして、紡がれる言葉には素直に照れを見せる大人が完成する訳。>>149]
あはは、ありがとう。
確かに、僕が伝えたい事の集大成かもね、この作品は。覚えてくれてて嬉しいな。
……それに、そう、ご明察。この写真の人が僕の大切な人。
救われたんだ。沢山ね。
[冊子を返されれば、懐かしむ様にページを捲って映る"彼女"の表情に笑みを零す。
本当の所を誤魔化すつもりはなかったけど、イノリくんが素直に頷けばそれに乗っかってしまう悪い大人なのだった。
こ、混乱させない為だから。]