[…昔は金を払っていた。という話が出たので
一つ回想を言葉にしよう。
男がまだ生身の肉体を持っていた頃だ。
BloodSunがまだ小さな組織だったそのときには
男は無骨で粗野な内面そのままの姿で葬儀社に赴いていたことも何度かあったのだ。
そして、顔立ちのいい女が相手のときは機嫌よく、
顔立ちの悪い…顔が美しくなかったり、大きな傷が目に見えてはっきりある女が相手のときは、露骨に嫌そうな顔をして取引に望んでいた。
依頼は死体の処理…がメインではなく。
死体の中に埋め込まれた様々な強化パーツの取り出しと買い取り。
他にも、いい『在庫』があれば、ある程度金に渋りながらもきちんと購入していただろう。
金を出すことに不満というか不快感はあるが、
葬儀社があるのは中央表通り。戦いはご法度。
必要なものを手に入れるために仕方なく使ってやるしかなかった。粗野な態度の手下共を連れて、相手する女の顔にあわせて金払いの良し悪しが決まるという特性は実に厄介だったことだろう。それでも、きちんと『取引』はしていた。そのことに抵抗もなかった』