[それから委員会のメンバーの方へ振り返り、飯島は言いそびれた挨拶をする。]
えー、今日の委員会会議は解散です。お疲れさまでした!
花壇のことは俺がやっとくから、気にしなくていーよ。
[教室内のメンバーへと、そう声をかけて、飯島はケンへと向き直る。]
ケンくんは、ちょっと俺とお話しよう。移動できる?
[そう言いながら、彼はケンの顔を見上げる。
少なくとも、廊下や他の空き教室に移動してから、言葉を続けただろう。]
えー、最初に言っておくけど、俺は怒ってません。
バックレちゃえば済むことを、ちゃんと言いにきてくれたんだもん。わざとじゃないっしょ?
花壇に落っことしたのは一回だけ?どこら辺に落ちたか教えてくれる?
[怒っていないというのも、わざとじゃないと考えているのも、半ば自分に言い聞かせるような声だった。
原作で描かれた本心でも、それらの言葉は嘘ではないのだが、割りきれない想いやケンの噂で拭いきれなかった疑念が滲み出てしまったのだった。]**