水かける前に教え…っ…てっ…ほしかった……!
[シャックリつらい。
独特な色合いの植物は強く記憶に刻まれた。
クシャミが出る風邪に効くんだっけ?と確認したり。
こうしてピギーと同じものを眺めて同じものについて話すのは、互いのことを話すより気楽である一方、不思議なざわめきがあった。
気づけば土を踏む足取りが軽くなっていた。
髪ゴムを借りて結べばよかったと思いながら、頬にかかる毛先を頭を振ることで避け、人工の雨を降らせていく。
そして、とうとうあの花の元に訪れた。>>156]
夜明け草だ……。
[水をあげると小さな葉がきらきらと光の粒をまとう。
お茶を淹れた時の色を思わせる花は美しく、紫の花びら一枚一枚に夜明けのひとときをいくつも宿していた。
よかった、こちらは動かないみたい。
水を止められるかなとピギーに頼み、少し時間をもらう。]