─広場にて─
[避けられた。
──避けられた!!
ただ振り回すだけの攻撃とも言えないモノを、しかし質量の伴ったソレを、存分に振るったのは初めてのことで。
しかし五体満足な彼を見れば、無いはずの鼓動が高鳴り、あるはずの理性が少女も自覚しえない"何か"に侵食されていく。
傍目に姿勢を整えながら距離を取ろうとするフットマンが見えるだろう。片時も目を離すことはしない。]
律儀にひとりで来ておいてよく言うわ!
「何が使われてても中身は子供」なんて思い違い、どうか眠るその時まで持っていてね!
[涼しい顔で避けて笑う王様に釣られ、口角が上がる。
そういえばこれまでの戦闘は不意打ちばかりだった、と一瞬考えて、即座に否定する。先程の拳は不意打ちに近いモノだし、何よりそう簡単に避けられるものではなかったはずだ。
改めて、これまでとはレベルの違う相手に──笑う。