[その刹那、男が一瞬動きを止めたかと思えば、懐から大型のハンドガン。
その銃口はおそらく、私の腕を狙っていて……となれば関節部を狙うだろうことは少女にも当然に予想できる。
しかし銃の種類を把握する暇の無い早打ちに感嘆する。
さて、この巨大な腕の話をしよう。
実はこの腕、動きは簡単な開閉しかとる事が出来ない。その理由は単純で、ただひたすら戦闘に特化した義手だからだ。
その構造は簡単な3Dによる設計モデルを見るだけでわかるほどに精緻で美しく、
──端的に言おう。
相対的に脆いことに違いはないが、ほんの些細な攻撃では傷もつかない程度に、関節部は装甲で守られている。そのために複雑な内部構造をしていると言ってもおおよそ過言では無いだろう。
しかしアリシアは、関節部を狙ったその銃弾を──守るようにして手の甲の装甲面で受ける。
「そうすれば、今後も狙ってくれるでしょう?」と言わんばかりに。]