― きっと、いつもの光景:スポーツジム ―
はあッ、はあッ、
もう…むり………!!
[ふらつきながら、ヘロヘロ状態でランニングマシンから降りると、その場で立ったまま膝に手をつき、大きく呼吸を繰り返しながら、額の汗をぬぐう。
ダブつく黒のトレーニングウェアは、既に汗でぐしゃぐしゃ。
もう無理、これ以上は死んじゃう。
マシンに着いた簡易ディスプレイには、日のカロリー消費タスクを終えた通知のほか、体力等に見合った走り込みでは無かった事が映し出されていただろう。
ジム常駐アンドロイドが差し出すスポーツドリンクに気付けば、無言で受け取り、身体が欲する水分のまま、ソレを一気に飲み干した。
長い長い船旅、運動不足のままでいては、太ったり筋肉が落ちてしまったりとか、そういうのが一番困る話だ。
これでも一応、年頃の女であるからして。
だがインドア寄り故、運動は得意ではない。
正確に言えば「運動を行う学校授業が得意では無かった」なのだが、運動神経が良いと言う訳でも無いのだ。]