(華の舞台に舞い戻ろうとするあたしが、
本当の罪に手を染めるなんて、しちゃいけない、でしょ)
[ハリコをあの地獄に叩き落した検察、警察、この放火事件の真相に関わる誰か。そうした者たちへのどうしようもない恨みが消える訳では未だない、けれど。
“Harriko”ファンにして“未来のデザイナー”になり得る人へ――冤罪を無くす活動にも参加しているというその人への手紙も思い返しながら、ハリコはひとり拳を握りしめていた。
……あの監獄内での一連の賄賂については、贈収賄というより脅迫に等しいケースも多々あったことも含めて、とりあえずここでは置いておこう。
少なくとも直接的には、ハリコの賄賂によって誰も死んではいない筈だ。]