[絶対的な物は無い。
実質的な力のない小娘に手をかける、など夢にも思わなかったアリシアは、その言葉を実感と共に反芻する。
当の派閥は今や跡形もないと聞かされていたものの、失ってからでは遅いのだ。]
[現在の居場所は裏路地の陰、少女と見て襲ってきた暴漢を一撃殴ったところ、地面に頭を打って死なせてしまったらしい。]
……これ、どうしよ。
ちゃんと加減したのよ?本当なの。でも……
[面倒ごとになったら大変だ。焦った頭で導き出した答えは、見て見ぬフリをするというものだった。
周囲の様子を窺うと、そそくさとその場を離れる。どうかこれが原因で大きないざこざが起こりませんように。]