軽音部2年 竹村茜

─晩春─

　『どうして、あの子のことを振ったんですか？』


[それは、竹村茜がまたとある女子に投げかけられたセリフだ。
少し怒ったような顔をした相手の子の後ろには、困ったような、泣きたいような顔をした、>>32先日竹村茜に告白をしたあの女子生徒がいる。
竹村茜に問いかけたのは、その女子生徒の相談相手。親友。だったかもしれない。
少なくともその女子生徒が竹村茜に告白したことを知り、それを断った事を遺憾に思う人物だ。

場面は夕方。下校時刻。
下駄箱に向かう廊下でのシーンは、遠くに他の学生の声がするものの、周囲には人の姿は見られない。
問いかけられた竹村茜は、声をかけられた事に眉を顰める。]