[機械腕を長丈のマントで隠し、軽度の変装をしたうえで裏路地を歩く。
今はちょっとした買い出しで、八百屋に向かうという話になっていた。都合よくも今向かっているのも八百屋だ……売っている物は少し違うけど。]
――そう、良い買い物をしたわ。
ええ、またの機会があればどうぞよろしく。
[お酒というのは便利なもので、いとも簡単に人は秘密を吐き出してしまう。
ここは情報屋の潜伏場所。完全紹介制の請負をしているこの男は、如何なる組織にも属していないために情報深度は物足りないが、それ故に私のような立場では関与しやすい。
もっとも、紹介を受けたわけではなく例のお客様に確認をすればすぐにバレるので、次の機会は無いのだが。]