[す、と差し出すのはお嬢様の愛用の万年筆。
旦那様がお嬢様の7歳の誕生日に贈られた、
私の関与しなかった頃の贈り物。
お嬢様は仰っていた。
「いつかレイルとお揃いの万年筆を使って
パーティのお返事を書きたいわ。」
お嬢様は、この万年筆を大切にしていたけれど、
新しいものをお求めになっている。
そうではなくとも、ペンを握れないだろう今、
私が戻ればお嬢様からいただいた万年筆で、
お嬢様の願いを叶えられる。]
どうでしょう、お気に召していただけましたか?
[先端の尖った万年筆は、
皮膚を突き破るのには丁度良いと、そう思うのです。]