この花はもう終わりだけど、種が取れたら、涼しくなる頃にまた撒けるし。これで終わりじゃないよ。
[なんて言ってみたものの、まだ先の話をしても意味はないかもしれない。
そもそも、彼が手伝ってくれたのは目の前プランターに植わっている花だ。
草臥れて、色彩の鮮やかさが失われつつあっても、関わった花である以上、多少なりとも愛着があるのかもしれない。
そうだとするなら、代替なんて必要のない話かもしれない。
どれだけありふれているように見えても、愛着のあるものの代わりなんてないのだ。
頭の中でそこまで考えて、一旦考えるのをやめて。
少し黙って、ケンとプランターを見つめていた。]**