[扉の向こう側は、本来は看守らのテリトリー。
しかし今は開け放たれ、皆好き放題出入りしている。
そんなものだから――、]
みなさーん!
ちゅうもーく!
[壁に備え付けられた重いレバーに両手をかけ、その場に居合わせた者全員に呼びかける。
些細な声に暴動が止む事は無かったものの、近くに居た数人であれば此方を向いたか。
視線が注がれたのを確認し、にっこり微笑む。
皆がじわじわと、状況を理解していく。
あらあらまあまあ、とっても顔色が悪いわ、大丈夫?]
「は?おま、それ――……」
「馬鹿!手を放せ!!」
[水浸しの床の上、慌て声を荒げる者らを全て無視し、わたしはレバーの取っ手を力いっぱい押し上げる。]