う……ぼ、僕は……ニンゲン様ではありませんよぅ……
だから、お使いに行かされるんです……早く帰らなきゃまた叩かれる…
[可哀想に、そう言われたあと、一瞬少年は固まる。
そして、今度は悲しむようにわざと顔を隠す。
悲しそうなフリをして、敵を味方につけるのは常套手段だ。…ただまあ、顔を隠した理由は他にもあるのだが。
(自分で憐れみを誘ったくせに、
実際に気を遣われるとピキる沸点の低さは
スラムの馬鹿どもと同じだった。
格下に見せかけてるのに
実際に格下に見られると勝手にぴきる、
実に良くない性格である。)
少し深呼吸をして、震えを落ち着かせる。
彼は優しい人なのだろう。
こんなクズ鉄の身体をも憐れんでくれた。
ならどこかで利用価値というのもありそうだ。
ここは生かしておいて、目障りになってから相手をすればいい。男はとりあえずそう思った]