[葬儀屋に付け加えて「ヌル」と名乗る彼に、恭しく頭を下げて名乗る。]
そう、名前は覚えておくわ、ヌル。
知っているだろうけど、私はアリシア。今は夜の女王のアリアの……ええと、戦闘員?をしてる。
こっちは……友達のページボーイと、部下みたいな人たち。
[名前を紹介しようと思ったら、そういえば私自身も連れてきた組員達の名前を知らないことに気付いた。立場上名乗りたいものでもないだろうし、無理に名乗らせるでもなく軽く紹介を済ませる。
ページボーイは何か名乗りたがるかな?それか、公爵に付いていた彼女なら案外知り合いだったりして。]
仲は……よくお店でお喋りしたわ。きっと仲がいいと思う。
あなたも甘いものが好きなのね。
[前者と後者は、全く意味の違う言葉だけれど。
毎回甘味を注文していくフィジシャンのことだ、素があんなのでも甘いもの好きは本当なのだろう。
目の前の彼に尋ねれば、アリシアにも聞き覚えのある店名を教えて貰えたのだろう。甘味の話を広げれば、きっと他愛のない話にさらに花が咲いたはずだ。
「お茶会をしたい」なんて、まったく本当にね。
もしお店に戻れたなら、私もあなたを精一杯もてなしてあげたい所よ。
と心に思いながら別れる。少しの間だけ、裏にいることを忘れるような時間だったかもしれない。*]