[これまで、ただ囲われるだけだった少女。
しかし立場ゆえか、様々なものを見て、様々なことを考えた。結局は変わらぬものなど存在せず、いつかはあの公爵さえも闇の中。
機械の体とてメンテナンスを怠ればすぐに寿命が訪れる。
それでもしばらくの間は、父の残した「わたし」は生かしてあげないといけなかった。
それにはやはり、身を守るすべは必要で。しかし義理で生きるには──いつか再び私を弑する人の現れるのを、願ったこともあっただろうか。
そうして惰性で強くなった少女は、しかしそれを発揮することのない平和な居場所を手に入れた。]