[ところで、本物のツバサ様はさすがに自分で「ツバサ様」なんて呼んでしまうことは……たまにありましたね。敢えて判り易い形で格好良さを演出してみたり、時にはおどけてみせたい時だってあったのでしょう。
でも普段から「様」なんて言っている訳でないらしいと白薔薇も知っていましたから、ついうっかり、なんて表情がその端正な顔には浮かんでしまいました。>>156]
年季。
君は、長く生きたぬいぐるみだったんだな。
[その話から察するに、元々綺麗にみえたうさぬいの身体は、けれどもさいごの時の姿とは違っていたようです。
そのさいごの時は、一体――。
白薔薇はそこまでは深く考えずに、「次からは気を付ける」と頷きを返しました。]