[軍人で居ることを止めたのは、成人してから少しした頃だった。>>0:414
横暴にて暴虐な上官。
命を無駄に捨てることが前提の指令。
血が流れる最前線で誰もが痛み、苦しんでいた。
そんな上官は"流れ弾"で死んだ。
軍用量産型スーツのヘルメットを脱いで、"流れ弾"を当てた相手を見下ろす。
もう人間として扱いたくなかった相手が、真っ赤な花を散らしたのを確認して、満足感を覚えた。
戦場で孤立していた部隊に監視の目は付いていない。"俺が撃った"事は部隊の奴ら全員が知って居たが、流れ弾の出どころについて口を割られる事は終ぞ無かった。
よくやったと同部隊の奴らに褒められ、トップを失ったボロボロの俺達はようやっと撤退した。
上官のバッヂ一つの為に死んでいく事が、こんなにも馬鹿馬鹿しいなんて。なんであんなクソッタレの言う事を聞いて、無様に死んでいかなきゃならなかったんだ。
その後の部隊には別の上官が派遣され、俺達の扱いはずっとマシになった。
一番の敵はやはりアイツだったことを改めて認識して、縋るように武器を握りしめる。
俺は、正しい事をしたと思って居る。
ヴァルハラが"より良い方へ向かう"選択をしたと思う。>>0:52]