――夜・通路窓辺――
[最後の一日って言い方をするとなんだかしんみりする。
私はドロシーの遺品を全てきっちりと詰めた荷物を確認する。
よし、荷造りは完璧。後はホワイト・マーブルに到着したらマイケルと家族の居る家に向かうだけだ。
肩をこき、と鳴らして(アンドロイドである私は疲れないが、スイッセスの癖である)、一仕事終えたとばかり背伸びをすると廊下に出た。
何処へ向かうでもない足取り。
廊下から見ると窓の外にも宇宙空間が広がっている。
なんて、美しい光景であろうか。
と、進行方向先の窓辺に佇む人物の姿を私は捉えた。
あれは…リーンである。詳しい事情までは伺っていないが、珈琲を振る舞い挨拶をした事があった。私がアンドロイドである事は告げてある。
私は彼女に声を掛ける。]