[さて、ここで「先輩」から頬を押された――直に触れられたことで、彼の心のうちがほんの少しだけ感じられた気がしました。>>137
(※余談ですが、ツバサ様の姿を借りた顔にはしっかりばっちりフルメイクが施されています。ですが安心してください。ツバサ様御用達の最高級のファンデーションが桃李さんの指先を汚すことはありませんでしたよ)
ずらされた手の指の間から覗き見えた眼差しの色に気を留める間もなく、ツバサ様のかたちをした顔は横に逸れさせられたまま、言われたとおりに「こっちを見ない」ままでいましたが……。]
人間はやはり、見苦しさ、
格好悪さ、というのを気にするものなのか。
[それでも白薔薇はこの時思ったことを、特に嫌味も何もない淡々とした受容として、口に出してしまっていました。]