[さて、えりざべーとが乗っかった先は、掘り炬燵ではなくテーブルの上。>>160
熱源のないそのテーブルに備え付けられた椅子に、ツバサ様の姿かたちをとった白薔薇は腰を下ろしました。
そしてえりざべーとからの無言の圧は、白薔薇にもちゃんと通じました。
これはホモ・サピエンスの身体が自然と……というわけではありません(無言の圧がわからない人間もいます!)。これは、樹木に宿る精霊ゆえに通じたことだったのでしょう。
今年の春までいつも水やりをしてくれていた女の子の心のうちが、白薔薇にも伝わっていたように。
そして白薔薇が人型の体で自然に喋ったり、目で情報を得たり、ブラシを持ったり、椅子に座れたりするように、えりざべーとが差し出したおみかんも「人間らしく」剥く……なんてことはできませんでした。]