[最後の手紙を綴り終えたところで、ヘローはペンを置く。]
あー…
[あの宇宙食の海鮮炒飯味についての感想を、SFエリアの売店のマスコットに伝え忘れていたことに気づいたが――。
「王国の『見た目だけ』な食事もこの宇宙食を見習え」という文句がなんか口をついて出てきそうな気が(少し前の一件>>2:50もあって)したこともあり、慌てて売店に引き返すことはしなかった。
その文句の対象からあるひとりの“女将”だけを除外していたのは、無意識でのこと。]
“宇宙食のパウチ、とても美味しかった。ありがとう。
本当に久々に美味しいシーフードライスを味わえたよ。
他の味やこれからの新規メニューにも、期待している。”
[前言撤回。これが本当にここで綴る最後の手紙。
この感想だけを載せた手紙の封筒に、SFエリアの売店のマスコット宛ての旨を記してから、全ての手紙を店先のメールボックスに投函した。
現実で見知った者たちに宛てた手紙は、この“塀の外”からは不用意には送れない。送る心算もない。――誰にも。]