[白薔薇は、まるで果実にくちばしで穴を空けるカラスのように、親指と人差し指でおみかんの皮を抉って千切っていきます。それを何度も繰り返します。ひたすら外皮を指先だけでつついて千切り続けます。
ツバサ様に似た姿の白薔薇の指先には、黒く艶やかで、硬質な付け爪がつけられています。そのネイルでまさにカラスのようにおみかんをつつくのです。そういえばバラの棘も硬くて鋭いですね。
そしておみかんの皮を全て難解なジグソーパズル並みに細かい破片の山に変えてから、白薔薇はさわやかにおみかんの中身をエリザベートに差し出しました。
幸い、中身の薄皮まで一緒に指先でついばんでしまう不器用まではせずに済みましたが……。]
どうぞ、えりざべーとお嬢様。
[以上、麗しきツバサ様のお姿とお声でお送りいたしました。*]