[その「告白」は――。>>140>>141
もし、こうした身の上を打ち明けられることに慣れていない人間が聞いたならば、動揺を隠せずにはいられなかったでしょうか。
白薔薇が表情を変えずに、ただ静かに相槌を打って「先輩」の話を聞くことができたのは、あくまでホモ・サピエンスならぬ植物として生きた精霊としての性質故だったのかもしれません。
滲む涙を目の当たりにしても、その涙を止めさせようとはせず。
言葉を詰まらせたり喘ぐような息継ぎで話に間が空いたりしても、その言葉の続きを急かすこともせず。
濁されたことの仔細を訊ねることもせず。
……最後の最後に彼が「告白」したことにも、ただ、言葉を挟まずに小さく一度頷いただけでした。>>142]