[逃げられず、変わってしまって、――死んで。 そこまで話し終えた「先輩」の視線が白薔薇にも、おそらくどこにも合っていないことに、白薔薇の目は気づきました。>>144 微かな風の音のように喉を鳴らしたきり言葉が途切れてから、白薔薇は暫くの間、静かにその人の様子を見守っていました。]先輩は、何も悪くない。[鐘の音ばかりが遠く響く静寂が幾らか続いた辺りで、白薔薇は「先輩」にこう声を掛けました。 これは打ち明け話を受けた大人としての対応というよりは、この白薔薇自身が率直に思ったことでした。]