[赤い顔を冷ますような動作の後、彼は花壇の話をする。>>155
画が引き、飯島はもちろん、後ろを振り向いた結月の姿も映った。
結月は自分より低い位置で咲き誇るパンジーを見つめている。]
色がね、たくさんあったの。
[彼のお願いに答えるより先に、結月は別の話をした。
視線はまだ花壇に向けられたままだ。]
一番……かどうかは分からないけれど、
学校の中で本当にたくさん、色があった。
[赤、青、黄、紫、白、橙。葉の緑も、土の茶色も。
いくつかの色が一部欠けてしまっても、それは変わらない。
見頃が終わるらしいと聞いて、惜しむかのように結月は花を見る。]