[聞こえてきた信号を変換したテキストには、いずれもその相手についての名指しがなかった。
だがこの時は――オクリビは、その送信元を辿って「応答」していた――譬え誰のことを「想って」いたとしても問題なかった。
思考回路からの情報が洩れている、ということさえ伝われば、今は十分だったから。]
ところで貴方、思考にはちゃんとした
プロテクトを掛けておきなさい。
これじゃフィジシャンのおじさま相手でなくても筒抜けよ。
「不審機」にだって傍受されかねないし……。
[ついさっき実際にソルが「おじさま」に覗き見られていた>>124>>135ことは知らぬまま、老婆心めいた言葉を声に出す。
最後の言葉はつい零してしまったもので、今敢えて彼に伝えようと考えていた情報では無かったのだが。
この件は組織間利害を度外視していい問題(度外視しなければならない、かもしれない)だと判断していたから、何か指摘されたとしても特に隠すつもりはなかった。
そしてこの「不審機」については「夜の女王」の方でも仮称がつけられていた>>173のだが、これは未だオクリビの与り知らぬ話。]