[狡猾で、傲慢で、我が身の惜しい一部の看守達は。
異常事態における職務になど目もくれず、
自室のコレクションの安否を確かめるべく道を急ぐ事だろう。
故に緊急事態であるのに、警備がやたら緩いと感じる囚人も居るかも知れない。或いは、少数精鋭の優れた看守だけが職務を全うしていたのかも知れない。
いずれにせよ、その合図は島の外までも響き渡った。
反撃の狼煙の如く高らかに。
メディアの飛ばしたヘリコプターやドローンが島の上空に到着する頃には、緊急生中継を見た市民達の誰もが否応なしに思い出すのだろう。
忘れかけていたはずのあの事件を。
世界を震撼させた、理由なき悪意によるテロリズムを。*]