「過去の失せ物の代償。いただきましょうか。
幻視≪スクライング≫しても良いけれど、過去に持って帰っちゃいけないもの、持ってるでしょう。できれば、自分から出してちょうだいな。」
・・・ここでのもらった贈り物なのだけれど、仕方ないかしら。
[観念したように、気落ちしながらポーチの中から次々とりだしていく。青色の薔薇、魔法の杖、そして写真の"束"。ああ、あと食べかけの宇宙食。サテンのなめらかな手触りのクロスの上に載せる。]
「青い薔薇はいいわ、魔力を使えば作れるし。ガラスペンも、別に良いわ、貴女なら作ろうと思えば作れるでしょうし。・・・・・・宇宙食、お口に合わなかったかしら。なんかごめんなさい。置いといて。」
[ただ、と写真の束は、と。]
「ざっと見た感じでも、他のお客様が写っていたり、貴女の時代にはあってはならないものが写ってたりしてるわ。分かるでしょう?」
・・・・・・ええ。残念だけれど。思い出は胸にしまっておくわ。ごめんね、マストちゃん。
[小さく頷けば、クロスが敷かれた"祭壇"上の写真の束は火に包まれ、塵も残らなかった。]
ごめんなさい、通信機、これだけは最後に使わせてちょうだい。連絡を取りたいの。
[そう言えば、どうぞ、とカウンターの魔女は肩をすくめて。]