『止まれ!』
[反射的に、オープン回線でノイズが叫ぶ。
だがそんな物で止まる者は果たして居ただろうか。この回線を聞いていたすら怪しいと言うのに。
再度捉えた影を即座にロックオン、トリガーを引くと、鉛玉がばらまかれる。
だが追いつけない。
そう瞬時に判断すれば、銃器は吠えることを止めただろう。これ以上は弾の無駄だ。
外したミサイルが遠い地平で爆ぜる。
機体のカメラを限界まで絞ったが、結局鮮明な姿を捉える事は叶わなかった。
録画映像に残像が残る、小柄な軽装兵。>>177
少年兵か、と判断した。
別段珍しくはない。
コクピットを開け、砂煙だけが残る地平を眺める。ああ、逃してしまった。]