── 正門へ ──
[ロストガーデンから、正門へと向かう。
遊園地の中心からなので、そこまでの距離ではないけど、逸る気持ちは自然とその足を早めていく。
さて、ここで一つ僕についての情報を付け加えておこう。
僕は一般男性の中では体力が低い方だ。
仕事柄フィールドワークも多いけど、あくまで徒歩だったり休みながらの移動だから保っているようなもので。
如何に夢の中とは言え、僕は僕の全力疾走に堪えられない設計なのである。嗚呼、インドア万歳。]
……ふう、夢なんだから空でも飛べたらいいのにな。
[そんな呟きが肩で息をしながら、酸素を取り込もうと上を向いた口から紡がれる。
実際は空を飛ぶのみならず、神出鬼没にテレポートなんかも出来たりするライオンに心当たりがあるのだけど、その想像力は僕には相変わらずないようで。 代わりに、園内を飛ぶ
彼らの耳に僕の呟きが届いたのは、幸か不幸か。]
「お、めがね隊長じゃん」『たいちょー』