[>>171 去り際に投げかけられた言葉に、心臓が跳ねた。心臓が耳元でなっているような気がした。血潮が身体を巡る音がする。すっと冷えた胸に突き刺さる異物感。足りなくなる空気、熱くなる頭の芯。口を開けて、何かを言おうとした。自分でも何を言おうとしたのか分からない。詰まる声、震わない空気。言葉にすらならない頭の中、何かが掴めそうになると逃げていく。探す。声になる言葉を探して。「怒ってないよ」と言おうとした頃には、ケンは教室を去ったあと。]**