[自分の職業は軍医だと話した。]
[嘘。今はもう、自分に割り当てられたコード0119に、軍のカルテへの接続権限はない。]
[自分は名家の生まれであること。]
[ウロボロスの姓は、きっと何処の国で探しても、記述は異なれど簡単に見つかる。メトロポリス史の医療文明に、決定的な変化を与えた始まりの家だ。]
[クレイの喉の話に、「うちに来れば声帯から作り直してやれる」と軽口を言う。]
[古い人工声帯を今も大事に使い続けているように見えるから、断られるだろう、と思った上での言葉だった。]</font>
[困った医療班の女のことも話した。]
[敵味方問わずに治療するから、手を焼いているとぼやく。だけど、その表情は何処か羨むような昏い顔で。自由な人間はいいね、羨ましいよ、と昏い声で笑った。]
[それを切り替えるように、食事の話に移る雑談の流れに口を任せた。]