[けれど、子にとって
楽しい時間はいつもあっという間。
将としての合間を縫って、
「星の駅」を離れる時は駆けつけて見送った。>>139
そうして“次”を楽しみにする新たな習慣が生まれた。
何度目かのお別れと“次”を待ち望む間のある時。
子はお姉さんに刺繍を入れた
オレンジのストールを差し出す。
絹に似た質感のそれはカタン染で染め上げたもの。
薄くて軽い、嵩張らない幅広のストールは
羽織ってよし、結び方1つで
ケープやポンチョに早変わり。
零下20度の環境でも温かく過ごせる優れもの。
何より見た目に反し丈夫でお手入れ不要だから
旅に便利だと思って差し出したのだ。
受け取って貰えたかはお姉さん次第だったろうけど。]