>>182 ユークレース
[ 顔を離すまで待っていたように発せられた文句を聞いた時には、既に手首に手を置いていただろうか。
包帯に滲む紅を視る。……此を口に ]
いや、此処じゃ…
[ 困惑した声が届き、熱に浮かされたように見ていた手首から視線を外し顔を上げる。 ]
ああ、ごめん…。
嫌いじゃないからね。
[ 顔を上げれば、広場に居ることを自覚する。手首に顔を寄せる様は充分不審だろうが、それ以上を求む事は自制した。
こんな言い訳で納得するはずがない、と考えながらも其れだけ口にする。
その眼は、元の色に溶けるように紅が消えていった。 ]