……遊園地はどう? 楽しめてるかい?
[僕は此方で起きた事をざっと話しつつ、イノリくんの遊園地での出来事も聞いただろうか。
イノリくんが楽しく過ごせているのなら、それ以上に望むべく事もないと思っていた僕なので、内容を聞けば瞳を輝かせつつ「青春だねえ……」とかよく分からない事を口ずさんでいただろう。
そして、自然と僕は続く言葉を紡ぐ。
この遊園地のもう一つの噂についての事を、イノリくんに。]
……イノリくんは『なくした大切なもの』、見つけられたかい?
[そこに踏み込むかどうかは、直前まで悩んだ。
だけど、ここに来ていると言う事は、イノリくんにも何かなくした物がある筈で。
もしも、見つけられていないのなら、大人として……いや、僕自身がイノリくんの為に動きたいと思ったから踏み込んだ。
見つけられているならいい、話す事が憚られるならそっと背中を押そうと思いつつ。
イノリくんが食い入るように見つめていた絵画……『ロストガーデン』とイノリくんを交互に見ながら言葉を待った。**]