[私には血の繋がった人なんていない。本当の年齢だってもう誰にも分からない。私の本当のことなんて誰も知らない。私にこの名前をくれて家族のように育ててくれる人がいても、私はその人たちの子供にはなれないし、本当の家族なんて、私には…。 考えれば考えるほど耐えられなくて、もうすっかり夜更けなのにたまらず家を飛び出すと、村外れの人気のない場所でひとりで泣いた。それからすぐ、村の人達まで巻き込んで私の捜索をしなきゃって小さな騒動にまでなっちゃったっけ。]**